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Stats of My Life(おいしい人生を味わうために、コツコツとチャレンジしたことを書くブログ)

本感想<銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 2015年4冊目>

 人類史にまつわる本ですが、冗長な文章でわかりにくかったというのが正直な感想です。

各章は、以下の通り面白そうなトピックなのですが、如何せん読むのパワーが必要でした。

 

・1万3000年前のスタートライン
・平和の民と戦う民の分かれ道
・スペイン人とインカ帝国の激突
・食料生産と征服戦争
・持てるものと持たざるものの歴史
・農耕を始めた人と始めなかった人
・毒のないアーモンドの作り方
・りんごのせいか、インディアンのせいか
・なぜシマウマは家畜にならなかったのか
・大地の広がる芳香と住民の運命
・家畜がくれた死の贈り物
 

本をまとめようとしましたが、パワーがかかるなあと思っていたところAmazonにkurokoriさんが書かれていたレビューがとてもわかりやすかったです。

これを読んでから本書を読むとより深く理解できるかもしれません。

 

「結論からいうと、世界が現在のような形になったのは、それぞれの人種の生物学的な優劣によるものではなく、それぞれの人種が何万年と過ごしてきた環境の違いからくるものである(環境決定論)というのが本書の主張だ。そしてその環境の違いから生まれた要因の中でも特に重要なものが、「銃・病原菌・鉄」なのである。その主張の根拠として著者は、様々な時代の様々な地域の様々な人種について緻密な調査結果を論じており、そこから一般化される洞察には非常に鋭いものがあるが、読書対象としてはあまりに細かすぎてとても読みにくいというのが正直な感想である。可能であれば1/10程度にまとめた要約版を一般向けに出し、本書はその詳細な根拠を知りたい人向けに読んでもらえればと思う。

 

これはどういうことかというと、地球上において横の移動は緯度が変わらず環境の違いも少ないため、家畜や栽培、技術の伝搬が非常に容易であるのに対して、縦の移動は天候や降雨量、気温といった環境が大きく違い、また砂漠や山脈といった障害物も多く伝搬が起こりにくかったということだ。ユーラシア大陸は地球最大の大陸であり、そこにはもとから様々な人種が存在しており、また人間が栽培しやすい植物、家畜化しやすい動物が多かったため食料生産が早くから始まり、定住生活をするようになってからも他の社会との交流が活発であったため文化レベルの進歩が早かったのだ。それに対し南北アメリカ大陸やアフリカ大陸は栽培できる植物や家畜化でいる動物が少なく、また上記の理由から異なる社会同士の交流が少なかったため、文化レベルの進歩が遅かったということになる。そして、技術は自己触媒的にさらなる技術の向上を生むため、このような最初の一歩の違いが、年を経るにつれてさらに大きな違いとなってユーラシアとアメリカ、アフリカに住む人種に文化レベルの違いを生み、現代のようにヨーロッパ人に大きなアドバンテージを与える結果になったのである。

 

何故ユーラシアの中でも特にヨーロッパだったのかというと、元々は「肥沃な三日月地帯」で興った最初の先進的な社会が、その後の環境の変化から西へ西へと移動したからだと説明されている。「肥沃な三日月地帯」はもっとも初期に食料生産が行われた場所であるが、その後人間社会が急速な成長を見せるにつれて土地が痩せてしまったため、より豊かで再生スピードの早い西へと文化の中心が移ったということである。

 

ざっくり説明すると以上が「何故世界は、富と権力が現在のような不均衡な状態になったのか?」「何故この世は白人が支配する世界になったのか」という問いに対する答えになる。これを読んで疑問を持った人には、是非本書を読んでもらいたいと思う。」

 

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)