意思決定に興味があったので本書を読んでみました。
人間はいかに他の動物よりも知能が高いとはいえ、動物の域を超えない。
従って、他の動物と同じように無意識的に意思決定して動いていることも多分にあるのではないか?
自分が前から感じていたこの問題提起に対して、本書にかなりの回答が書いてありました。
意思をするにあたって私達人間は次の2つのシステムを持っているそうです。
システム1は物事を直感的に判断しスピーディーだが複雑なことには対応できず、その場合にはシステム2が出動する。
システム2は複雑な思考に長けているが、注意力を要する(1つのことに集中すると他のことが疎かになってしまうのもこれが原因)上に多くのエネルギーを消費するため、平常時はシステム1に判断を任せて省エネモードになっている。
専門家では全然ないですが、確か脳は怠けやすいと聞いたことがあります。
脳は一日のエネルギー消費が高いことから、ローコストで済む方法を普段から取るようになっているのでしょう。
自分ごとでいえば、通勤電車の中で勉強をしようと決めても週の後半に仕事で疲れてくると、勉強はせず気楽なネットニュースをつい見てしまいます。
もしかしたら、これも脳が注意力を要する勉強に対して、複雑な処理を要しないネットニュースの方に誘導されているからかもしれません。
本書では、このようなシステム1とシステム2の関係性から人間の様々な意思決定過程における誤り(バイアス)が紹介されています。
「プライミング効果」・・・事前に見聞きしたことがその後の判断や行動に影響を与えること
「ハロー効果」・・・1つの特徴に引っ張られて対象を歪めて見る人間心理を意味します。
「アンカリング」・・・最初に提示されたものの特徴や数値、価格によって、後に提示さるものの数値の判断がゆがめられること
「利用可能性ヒューリスティクス」・・・取り出しやすい記憶情報を、優先的に頼って判断してしまうこと。 記憶に残っているものほど、頻度や確立を高く見積もる傾向。 探せる記憶だけが事実になること
「基準率の無視」・・・他の選択肢・可能性があるにもかかわらず、それに気付かないで問題を単純化して答えを得ようとする
「結果バイアス」・・・出来事が起きて結果が分かったあとに、「それわかっていたよ」「そうなると思っていたよ」と、あたかも始めから知っていたかのように、自分の考えを結果と一致させようとすること
いろんなバイアスの名前が紹介されていますが、私は
人間は自分が見たいものしかみない。そして、自分では良い判断をしているように見えても客観性、論理性を欠いていることが往々にしてある
と理解しています。