名書中の名書です。
昔は読んでも響かなかったことが、ある程度、社会経験を経てから読むと全然違った読み物になります。
今回はたくさん自分が響く文章を見つけては、自分の頭にインプットを試みました。
飛躍を遂げたトップの資質、人材、事業の集中と選択、システム、誤解を防ぐために針鼠の概念(↓引用部分に記載しています)といった独特な表現を使っているのが印象的でした。
ざっと、自分が気になったフレーズをもとに本書の要点を以下、まとめてみました。
トップの資質はカリスマ性よりも、おどろくほど謙虚で個人の実績よりも会社にフォーカスしている。厳しい事実をしっかり見極め、針鼠の概念を必要とあらば大胆に行動する。一見すると矛盾に見えるが、辛抱強く目標に向かって推進している。
一にも二にも、適切な人材をバスに乗せることが重要。すばらしい戦略を立てることよりも、まずは適切な人材をバスに乗せ、そうでない人は降ろして目標を立てる
その会社が何の事業に集中するのか、それを決めたら邁進する。流行りの技術とかには手を出さない。最新技術は促進剤にはなるが、事業成功の主たる要因ではない
規律ある組織の構築を間違えると、官僚制を強いてしまい、起業家精神を阻害する要因にもなりかねない。ここでも、適切な人材がいれば、そもそも規律ある行動を自発的に行うため管理コストは減る。
偉大な企業は魔法のように短期間で改善する手法を用いてなどなかった。むしろ、針鼠の概念を決めるのも平均4年ぐらいかかっていた。
したがって、成果が出るに時間はかかることを覚悟すべきである。
焦らず、経営陣が針鼠の概念として決めたことを信じて、邁進し続けることが重要である。
上記、書いてみると本書は会社経営の本ですが、自身のキャリア形成にも役立つと感じました。何だったら自分は情熱を持って、卓越した成績を残せそうなのか。ついつい考えてしまいました。
本書で印象的だったのが、なぜ偉大な企業を目指さないといけないのか?という質問に対する回答が、次の言葉でした。
「偉大な目標を追求するのは、ただ好きだからだろう。」
好きこそものの上手なれと言います。
私も残りの人生、キャリアという観点での"針鼠の概念"をしっかりと決めたら、それに邁進したいと思いました。
・著名で派手なリーダーが社外から乗り込んできたことは、偉大な企業への飛躍との相関性がマイナスになっている
・戦略を確立していること自体では、飛躍した企業と比較対象企業との違いをもらたす要因ではなかった
・飛躍した企業は、偉大になるために「してはならないこと」と「止めるべきこと」を重視している
・飛躍した企業は変化の管理、従業員の動機づけ、力の結集にはほとんど注意を払っていなかった
・最初に人を選び、その後に目標を選ぶ
・厳しい現実を直視する(だが、勝利への確信を失わない)
・規律ある人材に恵まていれば、階級組織は不要になる
・規律ある行動がとられていれば、過剰な管理は不要になる
・第五水準の経営者
→個人としての謙虚と職業人としての意思の強さという矛盾した性格の組み合わせによって、偉大さを持続できる企業を作りあげる
・比較対象企業の四分の三以上の経営者は、後継者が失敗する状況を作り出すか、力が弱い人物を後継者に選ぶかしており、両方にあてはまる経営者もいた
<職業人としての意思の強さ>
・素晴らしい実績を生み出し、偉大な企業への飛躍をもらたらす
・どれほど困難であっても、長期にわたって最高の実績を生み出すために必要なことはすべて行う固い意思を示す
・偉大さが永続する企業を築くために基準を設定し、基準を満たさなければ決して満足しない
・結果が悪かったときに他責にしない
・第五水準の指導者+強力な経営陣
→最初に人を選ぶ
適切な人をバスに乗せる。強力な経営陣を築き上げる
→その後に目標を選ぶ
適切な人材が集まった後、偉大さへの最適な道を見つける
・経営陣の報酬と飛躍を結びつけるような一環したパターンは発見できなかった
・報酬と奨励給は重要だが、偉大な企業では、これが重要な理由が大きく違っている。報酬制度の目的は、不適切な人々から正しい行動を引き出すことにはなく、適切な人をバスに乗せ、その後もバスに乗りつづけてもらうことにある
・人材は最重要の資産ではない。適切な人材こそがもっとも重要な資産なのだ
・不適切な人物がしっかりした仕事をしないので、適切な人たちが尻拭いや穴埋めをするしかなくなる
・すぐれた業績をあげる人たち業績向上を強く願っていて、これを仕事の原動力にしている
・最高の人は最高の機会の追求にあて、最大の問題の解決にはあてない
・偉大な企業への飛躍を導いた経営陣は、最善の答えを探し出すために活発に議論し、方針が決まれば、自分が担当する部門の利害を超えて、決定を全面的に支持する人たちで構成されている
・カリスマ的で強い個性をもつ経営者にとって、カリスマ性が強みになると同時に、弱みにもなりうるとの見方は、じっくり検討してみる価値がある。
・経営者が強い個性をもっているとき、部下が厳しい現実を報告しなくなれば、問題の種を蒔く結果になりかねない
<針鼠の概念> 次の3つが重なるところに集中
1.自社が世界一になれる部分
2.情熱をもって取り組めるもの
3.経済的原動力となるもの
キャッシュフローと利益を継続的に大量に生み出すもっとも効率的な方法を見抜いている。具体的には財務実績に最大の影響を与える分母をたったひとつ選んで、「X当たり利益」という形で目標を設定している
・おどろくほど謙虚で、世間の追従を避けようとし、決して自慢しない
・野心は自分個人にではなく、企業に向ける。次の世代に一層の成功を収められうように後継者を選ぶ
・静かな決意を秘めて行動する。魅力的なカリスマ性によってではなく、主に高い基準によって組織を活性づける
・仕事熱心な従業員が働きやすく、怠惰な従業員がバスから降りるか放り出されるように、職場の環境を作り上げているのだ
・成績の良い人たちに報いる方法は、成績の良くない人たちに足を引っ張られないようにするしかない
・偉大な企業は、人員削減を戦術として使うことはめったになく、主要な戦略として使うことはまずない。
・最高の人材は管理を必要としない。
指針を与え、教え、導く必要はある。だが、しっかり管理する必要はない
今一度書きますが、ほんと名書中の名書だと思っています。
ビジネスに関わる人は、ぜひ読んでみてください。