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Stats of My Life(おいしい人生を味わうために、コツコツとチャレンジしたことを書くブログ)

NHK100分de名著カール・マルクス「資本論」(著者: 2021年21冊目)

 

 

 

資本主義の問題点を浮き彫りにした本です。

内容は正直ショッキングでもあり、いま学べて良かったです。

 

私達が日々生活しながら考えていること、行動していることは実は資本主義というシステムに寄っています。だからこそ、資本主義というものをきちんと勉強すべきです。

 

カール・マルクス産業革命勃興期のイギリス都市部での劣悪な環境下で働いている人に衝撃を受け、資本主義の問題点を浮き彫りにしようとしたそうです。

 

当時は相当なブラックな労働環境とのことでしたが、200年以上経ったいまも、未だにそういうニュースが目に飛び込んでくることに驚きもありますが、少なくない労働者が報われない仕組みであることを本書を読んで学べて良かったです。

 

<メモ>

・誰もがアクセスできる共有財産だった「富」が資本によって独占され、貨幣を介した交換の対象、つまり「商品」になる。そして「商品」のためには「労働」が必要

 

・労働とは端的にいうと生産活動

 資本主義社会における労働は、「商品」を生み出す。けれども、裏を返せば、資本主義以外の社会における労働が生み出す富は、必ずしも商品として現れるわけではない

 

・貨幣では必ずしも計測できないけれども、一人ひとりが豊かに生きるために必要なものがリッチな状態、それが社会の「富」

 

・「商品」生産の担い手は、自らの労働力を提供するだけでなく、「商品」の買い手となって、資本家に市場を提供した

 

・資本主義社会では「資本を増やす」こと自体が目的になっている

・資本主義は利潤追求を止められない。

・資本主義社会で生産される「商品」は、人々の生活に本当に必要な物、重要な物かどうかよりも、それがいくらで、どれぐらい売れそうか。言い換えるとどれくらい資本を増やすことに貢献してくれるかが重視されます。

 

・商品には2つの顔がある

 1つは使用価値。使用価値とは、人間にとって役に立つこと(有用性)、人間の様々な欲求を満たす力

 もう一つは労働価値 商品を生産するのにどれくらいの労働時間が必要であったかによって決まる価値

 

・富は「使用価値」の論理によって支えられ、商品は「価値」の論理によって支えられている

 

・「価値」のためにモノを作る資本主義のもとでは立場が逆転し、人間がモノに振り回され、支配されるようになる。この現象を、マルクスは「物象化」と呼んでいる

 

・資本は絶えず価値を増やしながら自己増殖していく運動

・仮に日給1万円の労働で生み出された商品の価値が1万6千円になったとする。この6000円分を「剰余価値」という。資本家はできるだけ多くの剰余価値を獲得したい

・一番簡単な方法=できるだけ長く働かせる

・労働時間の延長、労働日増加による剰余価値の生産を「絶対的剰余価値」の生産という

・資本主義社会において、労働者は2重の意味で「自由」だとマルクスはいう

 1つは、奴隷のように鎖につながれて強制労働させられているわけではない

 もう1つは生きていくために必要なものを生産する手立てをもたないという意味での自由(フリー、つまり、なしということ)。生産手段から切り離されてしまうと人は自給自足できない

・自由な自己決定、すなわり自由の意識や、それと結びついている責任の感情は、自由な労働者を奴隷よりも遥かに優れた労働者にする

・資本主義社会では誰も生存保証はしてくれない

・資本家にとって都合のいいメンタリティを労働者が自ら内在化することで、資本の論理に取り込まれていくことを「魂の包摂」

・資本主義は膨大な富をもたらしたようにみえるけど、私達の欲求や完成はやせ細って、貧しいものになっていく

・労働はもっと魅力的で、人生はもっと豊かであるべきなのではないか?

・資本家であり続けるには、他社より安く、効率よく生産して儲けなればなりません。だから、商品を安くするために、とにかく生産力を上げようと資本家は必死になる。これが、資本主義のもとで生産力が飛躍的に上がっていく最大の理由

・相対的剰余価値・・・1日に生産される価値の合計は変わらないのに、労働力の価値が下がることで、儲けが増えるカラク

・効率性は労働者を快適には考慮していない

・資本主義のもとで生産力が高まると、その過程で構想と実行が、あるいは精神的労働と肉体的労働が分断される

・資本家が構築した分業システムに組み込まれるだけなので、「構想」する機会を奪われていく

・人間らしさを奪うテイラー主義

・生産の計画・管理を行う人と、実際の作業にあたる人を完全に分離する

テイラー主義は生産に関する知というコモンを囲い込む行為

・資本の専制が完成されると、飛躍的に向上した生産力も、すべて資本家のもの

・構想とは、自分で自由に考え、判断する能力を意味する

・裁量を与えられないままに経営者目線で働くのであれば、現代の労働者は依然として「実行」しているだけ

・資本家目線で"自発的"に動いてくれれば、資本家にとって、こんな有り難いことはない

・資本主義に代わる新たな社会において大切なものは、「アソシエート」した労働者が、人間と自然との物質代謝を合理的に、持続可能な形で制御することだ

・アソシエートとは、共通の目的のために自発的に結びつき、協同すること