カルタゴとローマのシラクサをめぐる争いの話が主だったですが、本当面白いです。
本書をみると、ガリア人やカルタゴ人が出てくるものの、ローマ人の思考性を柔軟にしている、政治・経済システムが強い軍団をも作り上げていると理解しました。
ローマ軍団の執行官(コンスル)は例え、戦争で負けてしまったとしてもさらし首になることはないものの、カルタゴでは死をもって償うことがあること。
その代わり、結果よりも決められたルールを遵守することのがローマでは重要でした。
また、執行官の任期は1年と短いからこそ、いい意味で成果を出したい人もいるが、それよりも任期の短さは、部隊の編成・行軍・野営地のルールなどをシステム化することに大きく貢献していることが凄いと思いました。
さらに、ローマは当初は海軍はカルタゴほど強くなかったものの、カルタゴの船を真似るだけではなく、当時は非常識とされた、先方の船に乗り込むための大きな縦のはしごみたいな有利な船具を作ったりしたことも思考に柔軟性を感じます。
陸軍が強いローマ軍は相手の船に乗り込みさえすれば、カルタゴの船員に勝機があると見越していたようです。
こう書いてみると、ローマの強さは非常に現実的でありつつも、いろんな知見を積極的に取り入れては改良することが優れているように思います。
それは、冒頭にも書きましたが、人種というよりかはローマのシステムが秀逸であることが本質かもしれません。
これを現代に当てはまると、企業の統治システムこそが重要であるとも捉えることができると思っています。
個人的には、MBAの教科書を読めばそれなりのことは書かれているものの、統治システムのグランドデザインを描いても、それを実現することは難易度が高いようにも感じます。
優れた統治システムが構築できると
・優れた人たちが働きたいと思い、応募してきてくれる
・統制がとれているため、社内トラブルがすくない
・柔軟に戦略と戦術を改良することができる
・実際のアクションプランをきちん遂行できる
・・・etc
こんな組織ができてくるんじゃないかなと思っています。いい組織に所属しているということは、すなわち、生存競争的には優位に立てるわけで、本書の内容をみながらもどんな組織にいることも重要なように感じました。
)もちろん、一見するといいと思ったものが急に崩れることもありますよね)
歴史って本当面白いです。
オススメです。