本書は今まで読んできた本の中で、経営戦略の系譜を理解するという意味では1番かもしれません。
各経営戦略が出てくるに至った時代背景の説明もあるので、各経営戦略の理解がより一段と深まります。
経営戦略にも理詰めで戦略を練ることができるとするプランニング学派と、やってみないとわからないとような創発性が高いものだから、理論的な戦略はあまり意味がないとするエマージェンス学派があるのは驚きでした。
経営戦略って、ある型のロジックをもとにしたものが大半というイメージだったので。
また、経営戦略の有効性においてはポジショニング理論と社内リソースを基点に考える、リソースベースドビューの2つに分かれるそうです。
昔は資本を持っている会社が圧倒的に優位でしたが、現代は人と組織文化に依る度合いが増えてきている印象です。
なので、会社も人をより大事にするようになってきたのかもしれないですね。
あと、本書を読んでアメリカの経済的強さの理由は下記に集約できると思いました。
アメリカのビジネス界はイノベーションはベンチャー企業が、効率的オペレーションによって高収益を追求するのは既存の大企業が担うという役割分担のしくみを構築した
なるほどです。。。
日本では大手企業とベンチャー企業とではこの役割分担ができていない印象があります。
例えば、ベンチャー企業で就職したとしてもリターンが少なかったり、仮にうまく会社経営がうまくいかなかったときのキャリアリカバリーがアメリカよりも日本はまだまだ難しいかもしれません。
だから、大半は大手の企業に就職するのも頷けます。
私はたまたま最初に働いた企業がベンチャーでしたが、とても大きくなったことや先輩達が活躍していたこともあって、転職活動時にはとても有利に働きました。
けど、これはマイノリティだと思うので、もう少し人の流動性を促進するためには企業側だけではなく国もベンチャー企業へのサポート体制が強化されるといいのかもしれないですね。
あと、イノベーションのジレンマという言葉の意味を予算に携わっていた身からすると、トップがイノベーションをやり遂げる意思がない限りは収益性を高めることだけに終始しやすいと思います。
成功している大企業ほど必然的にイノベーションに取り残されてしまう
優秀な企業というのは、合理的な判断を行い、漸進的な改良と効率的なオペレーションを実現しているからこそ、より成長もするし、収益力も高い
上記記載の通り、経営者は収益性だけを株主から求められるようになると、イノベーションに対する投資が難しくなるのもわかります。
イノベーションをするためには長期的な投資はもちろん、経営者の強い意思が求められる。。。本書を読んでそう確信しました。
なお、各経営理論の詳細を知りたい方は下記本がおすすめです。
今年は良本に出会う確率がとても高いです。
いつも以上にラッキーな1年になりそうな予感がします。