今の自分には、本書で書かれている言葉一つ一つが、自分の心に突き刺さる言葉が多く感銘を受けました。
例えば、お客様のためにといいながら、会社のためになっていないか?というのは、経営する上ではよく聞くフレーズかもしれないですが、
お客様のためにではなく、お客様の立場にたって考えること
が重要であると著者は述べています。その理由として次が書いてありました。
わたしたちが「お客様のために」と考えるときはたいてい、どこか売り手側の都合が無意識のうちに入っていて、実態はその「押し付け」になっていたりする。
つまりは、商売がうまくいかないのは、自分たちの都合を無意識的に押し付けていることが原因の一端であると。
ただ、言うは易く行うは難しで無意識であるが故に、自覚することはとても難しいように思いました。
著者は統計学と心理学を勉強されていたそうです。
本の中にたびたび人間心理に基づいた見解が出てきます。人間心理を深く理解することは自分だけではなく、相手の理解にも役立つかもです。
著者は統計と人間心理をもって、物事の本質を掴まれているように感じました。
また、次の文章は今の自分にとってまさに、という感じでした。
人間は一方で何かにしがみつきながら、もう一方で新しいことに挑戦することはできません。自分では一歩踏み出したつもりでも、思うように前に進まない人は無意識のうちに何かにしがみついているのかもしれません。
特に会社組織にしがみつこうとすると、誰にでもいい顔をする「いい子」になりがちです。
上司との関係においても、ありがちなのは、上司と軋轢を避けて自分はできるだけ「いい子」でいようとすることです。
特に何かにしがみつこうとすると、問題が起きても、「なあなあ」で妥協してしまう。それでは、悩みは乗り越えられまん。
「いい子」にならないためには、仕事において、自分なりに「正しい」と思う考えをしっかり持つこと。
そのとき、「判断の尺度」を「お客様」に合わせると何が正しく、本質的であるかが見えてくる。
上司と考えが合わなくても、安易に妥協することなく、勇気をもって自分が正しいと思う考えを主張し、説得を重ねていく。
上司部下関係の問題も、挑戦していくことによって、初めて乗り越えられえることを忘れるべきではないでしょう。
生き方を変えるとは、何かにしがみついている自分に対して、このままでいいのかと問い直し、しがみついているその手を離して一歩前に踏み出すことです。
自分自身を問い直すには、「もう1人の自分」から自分を見ることが大切であると、繰り返し述べてきました。
挑戦する自分と保守的な自分の間で揺れ動いたら、「もう1人の自分」から客観的に見てみる。
自分は何にしがみついているのか、それは本当にしがみつく価値があるのか問い直す。そして、そんな自分に妥協したくないと思ったら、自分を解放し、思い切って未来に向けて一歩踏み出すことです。
本当の力が出せるようになれば、大切だと思ってしがみついていたものが、自分の思い込みにすぎなかったと気づくはずです。
今の自分の仕事ぶりを振り返ってみると、自分ではゴリゴリ仕事を進めているようでも、どこか軋轢を避けてしまっている。
軋轢を避けてしまっているのは、きっと自分が"何か"にしがみついているから、というのは納得しました。
ガンガン仕事を進めよう、チャレンジしたい自分と、一方でそれによる関係者への説得や失敗リスクを避けようとしている自分がいて、この両者の狭間で最近やきもきしている自分がいるのも、本書を読んで自覚しました。
覚悟が決まれば、ちょっとした失敗もいちいち気にすることなく、次の成功の糧としていけばいいだけです。
本書を読むと、自分自身に対して次の課題があることがわかりました。
・自分の思い込みがいかに強いか
・お客様のためにと言いながら自分のためになっている
・思いっきりチャレンジしようとしながらも、"何か"しがみついているから、それがブレーキとなってしまっている
そんな課題に気づかせてくれた本書に本当に感謝です。
自分が判断に迷ったときは本書を読み返してみようと思います。
<他にも刺さったフレーズ>
「無」から「有」を有無には「未来を起点にした発想」が大切
「失敗してはいけない」と思うと過去の経験に縛られる