本書を読んでの感想となりますが、今の私達は人類史上、大きな転換期に立ち会っているのかもしれないですね。
歴史的に考えれば、飢餓・疫病・戦争を克服してきている人類は、次に至福や不死への追求が始まると著者は言っています。
確かに昨今のニュースではGDPによる指標だけでは、人間の幸福を測ることはできないといった主張を目にする機会が増えました。
(実際は資本主義社会にどっぷり浸かっている以上、しばらくGDP成長を目指して頑張ることになるとは思いますが、、、)
不死や至福を満たすためには、「生物工学」「サイボーグ工学」「非有機的な生き物を生み出す工学」の3つが必要とのこと。
実際、最先端の研究では人間の今までの生態を越えた動きが出始めています。
ChatGPTなんて最たる例ですよね。サイバー空間上であれば人格的な要素以上を満たしたAIはすでに存在いるかもしれません。
至福においては、薬物投与や脳の刺激で生化学的に幸福をコントロールすればいいのでは?といった考えもあります。
倫理的な懸念を持つ人も一定数いますが、有効性やメリットを一度人間が味わってしまうと制御することは難しいと思います。
薬物投与のような技術がない昔でいうと、ブッダは一回快楽を経験してもすぐにまたそれを渇望してしまうのが人間と捉えていました。
そして、そもそもの苦しみの原因である快楽の追求を止めて、その渇望に人生の主導権を奪われないように心を鍛錬せよと説いたのが仏教です。
宗教は人間の法や規範や価値観に超常的な正当性を与えて、人間行動の指針の役割を担ってきました。
ただ、今後はデータ至上主義のもとに人間の行動が誘導されてくると予想されます。
最初は助言的な役割から、代理的な役割をAIは担います。次に人間の行動を導くような判断をAIがしてくるでしょう。
企業活動はそもそも合理的な判断をもとに行われるので、AI社長みたいなのが出てきて、無能な社長にとって代わって企業が進むべき方向性の判断まで導いてくれるかもです。
そうすると、AIが稼ぐことになります。
近代の人間の労働とその対価の関係性、つまりは資本主義の存在自体が大きく問われそうです。
以上、つらつらと本の感想を書いてみました。
本を読んで自分が思ったことを書き起こすと、あとで読み返すと自分の理解レベルを確認することができるのでオススメです。
また下記noteの解説がとても秀逸で、ぶっちゃけて言えば本を買わなくてもいいぐらい上手くまとまっています。よかったら参考下さい。