ちょうど今年、50冊目の読書となりました。
節目の1冊に選んだのは、「伊藤忠がなぜ旧ビッグモーターを買収したのか?」というテーマを深掘りした本です。
内容としては、中古車業界の構造や課題、そして再編に至るまでの背景などが丁寧に書かれており、非常に学びの多い1冊でした。
中古車市場は20兆円の巨大市場
本書の中でも特に印象的だったのは、中古車市場の規模が約20兆円にも及ぶということ。
そして、ガリバー(IDOM)やネクステージといった主要プレイヤーのビジネスモデルについても解説されており、業界全体の構造がよく理解できました。
「市場規模が大きい=成功」は本当か?
ここで少し話がそれますが、私は昔から「この市場はXX兆円あるから、ビジネスチャンスだ!」という起業家の話に、違和感を抱いてきました。
理由はシンプルです。
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市場が大きい=自分のビジネスが成功する、という論理には飛躍がある。
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本当のビジネス価値は、“市場を新たに創り出すこと”ではないか?
そう感じているからです。
クルマ業界は今、再編の真っ只中
ビッグモーター問題をきっかけに、クルマ業界全体が揺れ動いています。
顧客は今、これまで以上に「透明性」や「公正さ」を求めるようになりました。
加えて、AIの進化、景況感の変化、ライフスタイルの多様化など、外部環境も激変しています。
既存のビジネスモデルでは、いよいよ限界が見え始めている。そんな印象を強く持ちました。
アフターサービスこそ、クルマビジネスの本質
クルマの販売は「スタート」でしかありません。
購入後も、点検・整備・車検など、数年単位でお付き合いが続きます。
その間、いかにお客様に安心と満足を提供し続けられるかが勝負です。
とはいえ、それを担当者のスキルや人柄だけに依存してしまうと、どうしても属人的になりがちです。
「担当が変わるなら、もうこの会社には頼まない」
こんな声を、現場では実際によく聞きます。
差が出るのは、“仕組み化”できるかどうか
こうしたアフターサービスを仕組みとして整備できている企業は、まだまだ少数派です。
でも裏を返せば、そこにこそ大きな差別化のチャンスがあります。
例えば——
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顧客の整備履歴や車両情報をデータとして管理
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点検や交換タイミングを自動で通知
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担当が変わってもスムーズな引き継ぎが可能
こうした体制を作れる企業が、今後選ばれていくのではないかと感じます。
デジタル化 × クルマ業界は、これからが本番
本書でも触れられていましたが、お客様の車両データ(整備履歴を含む)を活用できる企業が強い時代になります。
これまで紙や口頭で対応していたものが、
今後はデジタルの力で、もっと“パーソナライズされたサービス”を提供できるようになる。
そのためには、ITやデータ活用に強い人材が不可欠。
業界の大小を問わず、クルマ業界の「これから」を考える企業が、生き残っていくのだと思います。
最後に:未来のクルマ業界を想像する1冊
50冊目にして、非常に示唆に富む内容でした。
中古車市場や再編の裏側、そして業界の課題と可能性に触れたい方には、ぜひおすすめの1冊です。
未来のクルマビジネスを考えるヒントが、きっと見つかると思います。