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Stats of My Life(おいしい人生を味わうために、コツコツとチャレンジしたことを書くブログ)

「最強の教養 不確実性超入門」読みました。(著者:田渕直也 2020年71冊目)

非常に読み応えがある、いい本でした。

 

本書を読んで「予測できる未来」と「予測できない未来」があり、不確実性のもとでは短期的な視野にならず、人間の特徴も理解した上での中長期的な判断が求められることを理解しました。

 

なお、

自己増幅的フィードバックは、悪いことが連鎖して致命的な事態に至らしめようとする恐ろしい現象であると同時に、良いことが連鎖して予想をはるかに超える成果をもたらしてくれる要因ともなる。だから、悪い方向に働く自己増幅的フィードバックの負の連鎖からいかに素早く抜け出し、良い方向に働く自己増幅的フィードバックからいかに大きな成果を上げられるかが、長期的な成果を左右する決定的な要因となるわけだ

 

 ↑のフィードバック理論を知っていることは、今後の様々な判断材料として使えそうです。

 

また、人間の思考には次の特徴があり、それがリスクに対する客観的な評価を誤らせていることも理解しました。

 ・人は明確な原因を探りたがる

 ・不確実性の過小評価

 ・自己正当化の欲求

 ・自己奉仕バイアス

 

特にモノゴトがうまくいっていないときは、振り返りとして原因を探りたくなりますが、私は本書から

「残念ながら確率的に起きてしまったこと」として、振り返りの調査を終わらせることも重要だと感じました。

 

仕事だと原因を人、さらにはその人の「意思」に求めがちな会社は多いと思います。

 

リーマンブラザーズを破たんへと追いやったリチャード・ファルドCEOは、無能だったから、あるいはリスクというものを理解していなかったから対応を誤ったわけではない。彼もまた、生き馬の目を抜くと評されるウォール街で成功を収め、市場の恐ろしさやリスクについて深く理解しているはずのプロ中のプロだったのだ。それでも、予期しない非常事態に遭遇して、現実を見失ってしまった。人は、過去に起きたデキゴトを後付けの解釈でしか見ることができない。

 

不運として捉えるだけでいいのか?それとも非常事態の捉え方を仕組み化していれば、ダメージを最小限にできたかは、もはや過去のことなので実証の仕様がないですよね。

 

専門の部署にまかせっきりにして、いつの間にかそれに誰も抗えなくなったり、逆に都合よく解釈すればいいだけの参考情報になったりするのだ。だが、リスク管理の本質は、専門的で技術的な部分にあるのではない。不確実性にいかに対処するかということこそが、その本質なのである。そして、不確実性に備えることは、特殊な機能などでは決してない。すべての意思決定者がわきまえておかなければならない意思決定の本質そのものである。不確実性は、不確実なものであるがゆえに、完全に克服することなどできない。 

不確実な世の中であることをまずは理解する。

例えば今回のコロナ禍なんて、ここまでの広がりなんて予測はできなかったはずです。

 

OSが業界標準となったことは、ビジネス展開のうえで非常に有利な立場をマイクロソフトにもたらす。そして、その有利な立場を徹底的に利用することで、マイクロソフトは「成功が成功を呼ぶ」プロセスに見事に乗ったのだ。このようにひとつの成功がその後の大きな成功の土台となることは、ビジネスの世界の至るところにみられる。もちろん、成功した者が次もまた必ず成功するとは限らない。だが、何らかの割合で、小さな成功をより大きな成功に結びつけることができる企業が現れる。

確かに成功が次の成功の結果になっている人や企業も一定数いると思いました。

まさにフィードバック理論ですね。

 

べき分布を生む事例に共通してみられるのは、ある結果が生まれたときに、その結果が原因となって結果が再生産されるという自己循環的なプロセスである。この結果が結果を生むプロセスは、フィードバックと呼ばれている。

 

原因と結果の大きさが結びつかない、というロジックを本書で初めて目にした言葉で感慨深かったです。

 

オススメです。