60万字におよぶ文量でしたが、きちんと理解もしたく2回目となりますが、丁寧に読みました。
本書を読んで、前回に比べれば本著の構成とそれぞれの理論がなんとなくわかったような気がします。
けど、これが自分が望む成果に直結できるほど、落とし込むができたかというとまだまだです。
これからも自分が要所要所で必要を感じたときに本書を手にすることがあると思います。
特に重要と感じたのが本書で紹介されている理論とは何のためにあるのか?それは理論はけっして正解ではなく、
思考をクリアにするため
というのが著者の主張です。
さらに、著者は経営理論を学びながら人の考えを探求しています、理由は以下↓
経営・ビジネスを実際に誰が行っているかというと、それは「人」である。すなわち経営理論とは、「人・あるいは人が織りなす組織が、普段から何をどう考え、どう意思決定し、どう行動するのか」を突き詰めたものにほかならない。経営学とは、人の考えを探求する分野なのだ。
私は社会人になる前から人・組織・社会に対して好奇心がありました。
それが理由で歴史本を中心に読み漁っていたのですが、経営学も大きな学びがあることを知りました。
本書で読んで大事だと感じたのは、思考をクリアにするのは何のためか?です。
それは人によって様々だと思います。
私は単純な知的好奇心と将来のやりたいことからすると、
本著はとても勉強になりました。
<重要メモ>
資本主義とは「生産手段を所有する資本家が、労働者を雇用して商品を生産し利潤を追求する経済体制」資本主義の隆盛に寄与したのが、会社株主制度の普及である。
現在のグローバル市場で期待値が高い企業というのは、「独占による圧倒的な収益化(SCP)→リスクを恐れない未来への大胆な投資(心理学ディシプリンの理論)→独占による圧倒的な収益化(SCP)」
密度依存理論の実務の示唆は、長期に業界の時間軸を見ることの大切さ
→どんなに優れた製品・サービスを持つスタートアップ企業でも、それが社会でレジティマシーを獲得すれば死亡確率は下がり、そこから爆発的な成長さえ見込めるかもしれない。
年齢依存仮説
生物が生き残るための条件の一つは、周囲との社会性を高めること
レッドクイーン理論
激しい競争にさらされすぎると、やがて競争そのものが自己目的化してしまい、競争相手だけをベンチマークするようになる。結果として別の競争環境で生存できる力を失ってしまう。
<本書の構成とメモ>
■経済学ディシプリン 人はそれなりに合理的という仮定をもとに、複雑な戦略や組織の行動に対して緻密で整合的な説明を行うディシプリン
・SCP理論・・・構造的に儲かる業界とそうでない業界の違いを説明する。企業は競争環境で独占に近づくほど超過利潤を得られる。企業が競争優位を生み出すメカニズムを説明するのがポーターのSCP理論
・RBV理論・・・企業内部の経営資源に着目する。リソースに価値があり、稀少で、模倣困難で、代替不可能な時に、企業は持続的な競争優位を獲得する
ただ、企業は価値があって、稀少で、他社から模倣されにくいとはどうしたらいいのか?といった踏む込みがまだ弱い
・情報の経済学①
・情報の経済学②
・取引費用理論
・リアル・オプション理論
■マクロ心理学ディシプリン 人は(古典的な経済学が仮定するほどには)合理的な行動を取らない 組織を1つの単位として捉える
・企業行動理論
・知の探索・知の深化の理論
・組織の記憶の理論
・組織の知識想像理論
・認知心理学ベースの深化理論
・ダイナミック・ケイパビリティ理論
■ミクロ心理学理論 個人、チームなど、組織内のより細かい単位の行動のメカニズムを分析する。
・リーダーシップの理論
・モチベーションの理論
・認知バイアスの理論
└プロスペクト理論・・・人は追加的な利得より、追加損失的を心理的に重く受け止める
・意思決定の理論
・感情の理論
└感情は3種類ある
1.分離感情・・・「怒り」「喜び」「恐れ」など、一般に我々が感情と呼ぶものの多 くは、学術的には分離感情と呼ばれる。分離感情は外部からのきっかけ・イベントで引き起こされ、短い期間で収まりやすい。時が経てばやがて薄れていく
2.帰属感情はおおまかにポジティブ感情、ネガティブ感情に分けられる。
3.ムード・・・日本語で言う雰囲気にあたる
一般に、ポジティブな外部刺激よりもネガティブな刺激のほうが、心理的な影響度は大きい(約5倍
・センスメイキングの理論・・・外部環境に働きかけて(イナクトメント)、そこで試行錯誤し、新しい情報や知見を得て、やがて自分たちのやりたいこと・進むべき道が表出してくるという一連のプロセスを描く。
■社会学ディシプリン 人と人の間(あるいは組織と組織の間)の「社会的な関係性」に関心を持つ
社会学は、人・組織の社会的な関係性のメカニズムを解き明かすのが一つの目的
・エンベデッドネス理論
└関係性の埋め込み:人は一度つながった相手と繰り返しつながり、その関係性が安定化していく傾向がある
└構造的な埋め込み:人は「つながっている相手が、その先でさらにつながっている他社」とつながりやすい
└位置的な埋め込み:より多くの人とつながっている人ほど、情報獲得・発信の面で有利となる
└埋め込まれたつながりでは、人は意思決定のスピードが早くなる
└埋め込まれたつながりは、アームレス・レングスのつながりより「私的情報」交換しやすくなる
・「弱いつながりの強さ」理論
└ソーシャルネットワークの役割の一つは、情報・アイデア・知をネットワーク全体に伝播させること
└弱いつながりを豊かに持つことがイノベーションを引こ起こす上で重要
└実行力には強いつながりが必要
・ストラクチャル・ホール理論
・ソーシャルキャピタル理論
・社会学ベースの制度理論
前提:フィールド内の企業が同質化する
└強制的圧力・・・政策・法制度がもたらす圧力
→政府部門へのアプローチ。ロビイスト契約などして非市場戦略を推進する
└模倣的圧力・・・皆がやっているから
→様々な啓蒙活動。仲間・支援者の巻き込みと、成功の積み重ね
└規範的圧力・・・特定の職業分野・専門分野で生じる、「この職業はこうでなけれ ばならない」という圧力
・資源依存理論
B社がビジネスを行う上で重要な資源を、A社が独占的にコントロールしている
B社はA社に対するリソースの依存度が高い
└リソースとは材料・部品・技術などのリソース・金銭的リソース・情報リソース・正当性リソース
企業は依存度の高い相手から「強い制約」を受ける
・組織エコロジー理論
・エコロジーベースの進化理論
・レッドクイーン理論
■ハーバード・ビジネススクールのアカデミックユニット
・戦略・・・企業の所有者に代わり、ゼネラルマネージャーが経営資源を使いながら、外部環境の中でその業績を高めるための、意図的あるいは非意図的な大きなイニシアティブを扱う領域
企業を取り巻く環境を前提に、業績を向上させるための、経営資源を使った、企業の行動・アクションのこと
戦略は競争戦略・企業戦略・非市場戦略・戦略プランニングに分けられる
これからの変化の激しい時代に勝つ企業は、「複数の「競争の型と経営戦略の組み合わせ:を内包し、そこで事業と資金を循環させる」企業
・総合経営
・交渉、組織、市場
・技術経営とオペレーション
・会計学とマネジメント
・ビジネス、政治、世界経済