非常に勉強になった一冊です。
最近は人間理解が欠かせないと感じるようになってきました。
理由は凄いシンプルで社会も組織も人で構成されているからです。
本書はその答えが書かれているといっても過言ではないかなと思っています。
著者が言う心理学経営とは、
タテマエに対してホンネ、合理的なシステムに対して非合理的な人間の行動、表のマネジメントに対して裏のマネジメント、こうした対比のなかでありのままの人間に対する理解を中心において企業経営を考える、これが心理学的経営の基本的なスタンスである。人間を人間として扱う人間主義的な経営、企業経営の中心に人間軸をおいた経営観
と述べ、モチベーション・マネジメント、小集団と人間関係、組織の活性化、リーダーシップと管理能力、適性と人事等について著者の研究と考察が書かれています。
特に組織の活性化の章については、リクルートの目標設定の礎となっていると理解しました。ある意味、著者はリクルートの組織活性化のグランドデザインを描いた人だと思いました。
本書に書かれている内容がリクルートが大事にしていること(私が在籍していたころ)にとてもリンクしています。
私は本書を読んで
・何よりも採用が大事
・明確な目標と適切な難易度
・仕事は有意義性・自律性・社会承認性・リーダーシップが自然と持てるような単位で依頼する
・外的報酬と内的報酬の設計
・育成&適性配置
私はこの5つのバランスが重要だと理解しました。
とても勉強になりました。
名著だと思います。
<メモ>
ブルームの期待理論・・・モティベーションを規定する要因を「期待」「誘意性」「道具性」
「期待」というのは、ある行動がある成果をもたらすであろうという予測
「誘意性」とは、その成果が本人にとって、どれほどの魅力があるか
「道具性」とは、ある行動によってある成果をあげることが、ある報酬を得るための手段(道具)として、どの程度役に立つかということ
技能の多様性、課業のまとまり、仕事の有意義性、自律性、フィードバックが
職務設計の中核的五次元といわれる
タスクアイデンティティ方式
自分の仕事の内容と範囲に一定のまとまりをもたせ、自分の仕事に一貫したまとまり、つまりアイデンティティが自覚されるようにする方法
Plan・Do・See方式
一人ひとりの仕事をそれぞれ、Plan・Do・Seeのサイクルが自己完結するように設計し、自律性を高める方法
この考え方を集団自体に応用し、まとまった仕事をある集団に請け負わせて、
仕事の進め方を集団の意思決定に委ねるという方式
個々人の自由裁量の幅を可能な限り拡げ、しかも多様な能力の要求される
マルティプルな仕事に挑戦できる仕事の環境と風土づくりを実現
その結果が、従業員一人ひとりの内的動機づけを促進し、生き生きとした職場へと結びついた
目標は具体的で明確なほど、エネルギーを方向づける力になりやすい
安易な目標よりも困難な目標の方が、一般的にモティベーションが強まり、より大きな成果を生み出すということがいえそう
目標設定理論では、モティベーションにとって最も効果的な目標の水準は個人にとって
成否の確率が五分五分のとき、つまり、背伸びをすれば届きそうな目標だと言われている。
現状の1〜2割程度の改善を求めたのでは、従来のやり方の延長線上でしかことは運ばない。リスクを伴うのを承知であえてとんでもない目標への挑戦を要望するなかから、
現状の自己否定、そして革新や革命が生まれるという
自らの主体的な意思で、仕事の主人公になりきることが、最も人間的な仕事への関わりのはずである。
ホーソン効果⇒何か新しいこと、何か特別なことに特定のメンバー選んで参加させることで、その集団のモラールが高まること
集団のなかでのメンバーの行動をより強く規定しているのは、この場合、経済的報酬に対する動機づけではなく、帰属する集団のなかで容認された規範に従うという社会的な要因の方
ファシリテーターの責任は基本的には、グループのなかでメンバーが感情と思考を表現できるようにするところにあると
これを言ってはいけない、恥ずかしい、相手を傷つける、言うべきでない等々通常はたらきがちな抑制と防衛規制を徐々に減少させていく安全な心理的雰囲気
エントロピーの法則、物質とエネルギーは使用可能なものから使用不可能なものへ、あるいは秩序化されたものか無秩序化されたものへ、一つの方向にのみ変化
長時間かけて学習された体系は、習慣を形成し、あるいは「常識」として適応体系に組み込まれている。
変化の時代には、既存の縄張りからのがれられないプロフェッショナルが否定さて、素人の発想がむしろ重視される。
専門家や学びすぎたプロフェッショナルのアンラーニングを促進する働きかけをディス・エディケーションと呼んでいる
私は企業の戦略的活性化のポイントを「一に採用、二に人事異動、三に教育、四に小集団活動、五にイベントにまとめられます。これに共通しているのはカオスの演出です」
基本的には、身体の大きさや体力がものを言う。そして、闘争心や攻撃的な性格が有利に働くであろう。しかし、集団を束ね、メンバー間の様々な葛藤を調整し、おさめていく地位を維持するには、それなりの包容力が求められるであろう。ペッキング・オーダー一位のにわとりにみられる寛大きや鷹揚さは、本来備わった特性というよりは地位によってつくられる性格といった面が強いということである。このように動物の集団における強者と弱者の関係においてさえも、強者としてのリーダーに備わった共通の特性を単純に結論づけることは難しい。特定の状況のなかでの相互作用によってもたらされる機能としてとらえることが必要