本書ではアウグストゥスの晩年が書かれています。
一見すると保守的なようにみえるアウグストゥスですが、カエサルが掲げた帝政国家の理想をゆっくりと、けど着実に現実化していく様はまさに稀代の戦略家といったイメージを想起させます。
アウグストゥスが築き上げた帝国は以後、平和が続いたこともあって「パックス・ロマーナ(平和なローマ)」と言われるようになります。
外敵との戦争にも、世界史の中でも最高のNo.2と呼ばれるアグリッパが軍事を担うことで彼は内政に注力します。
全てがうまく言っているようでも、後継者問題には晩年かなり悩んでいることが本書でわかります。
とはいえ、アウグストゥスの統治能力というものはズバ抜けたものがあった思います。本書を読む限りは中長期的な視点を持ちつつ、実現するだけの意志力がとてつもなくあるように感じました。
歴史にIfはないですが、現代に生まれていたらどんな活躍をしていたのか、想像を思い巡らすだけでも面白いです。
私は歴史本を読みながらも、つい日々の生活に活かせるようなことはないかな?って考えてしまいます。
本書のアウグストゥスから学んだことといえば、圧倒的な長期的な意志力と自己統制能力です。共和制を継続すると元老院には思わせておいて、帝政を実現していく様はとても戦略的に感じます。
自己統制能力が優れた人がトップだと、下にいる人達は落ち着いて仕事をすることができるので安心ですよね。
アウグストゥスは幼少期から身体が貧弱だったそうなので、人に任せるということが自然とできた人だったかもしれません。
仕事ができる人は、たいてい遂行能力が高いので自分で何でもかんでもやってしまう人もいるかとは思います。
自分の力量とリソース配分をしっかりと認知して自分の立ち位置を自覚する。次に任せるべき仕事は権限移譲をしていくことができる人が優れたマネジメンターとしての一要素なんだと思います。
塩野さんの本は本当おすすめです。
アウグストゥスの年表が書かれた珍しいサイトを見つけました↓
アウグストゥスが8月の語源になっていることの説明も書いてあるので、アウグストゥスに興味ある方は下記サイトも見て頂ければと思います。