本書はマッキンゼーが取り組んだ日本会社におけるDXの考察や振り返りといったレポートです。
DXが産業モデルをどれだけチェンジさせるか、またDXを実現するための戦略が書かれていて勉強になりました。
1.産業モデルの大きな変化
事業そのもののあり方を変化させてしまう力をDXは持っていると理解しました。
逆に言えば、DXをしていない企業はDXを実現した会社に取って代わられるリスクがあるともいえます。
DXを成し遂げて革新的な成長を遂げるか or DXが及ばいないニッチなところで勝負するかの二択を現代は問われているのかもしれません。
2.DX推進の難しさ
本書を読んでDXは言うは易しで、計画することや実行することの難しさが本書では書かれています。
DXが成功している会社には次の特徴があるそうです。
(自分が気になったところだけピックアップしています。)
機能・事業部門の横断的なコラボレーションが確立している
テスト&ラーンに対する動機づけがされている
ビジネスの意思決定に対する権限移譲がされている
デジタル変革に対して投資の再分配が行われている
デジタル施策に対して人材の大胆な配置が行われている
3.経営層による企業戦略の再定義が重要
経営層は次のことができている必要があるというのは納得です。
(ここも自分が気になったところをピックアップ)
・産業構造の変化 →5年後・10年後にどのような産業構造に?
・顧客ニーズの再定義/自社提供価値の再定義
・ビジネスモデルの再定義
└バリューチェーンのどこで勝負すべきか?
・経営層の役割の再定義
└管理から意思決定へ
└高い目標設定とPLインパクト
・推進体制と組織能力の再定義
└アジャイル・課題解決型人材
└消費者志向
└デジタル・AIの使い手
経営層には単にIT部門やCDO・CIOに丸投げではいけないと書かれていたのは印象的でした。
4.これから求められるIT人材とは
IT人材についてはシステムのあるべき姿を描くITアーキテクトと、トランスレーターと呼ばれるデジタルアナリティクスと事業ニーズをつなげ、事業変革を推進できる人材が重要と書かれていたが気になりました。
<IT職種>
UI・UXデザイナー
ソフトウェア開発者
データサイエンティスト
データエンジニア
機械学習エンジニア
プロダクトマネージャー
サイバーセキュリティエンジニア
アジャイルコーチ
つまりは、こと日本においては高いIT技術はもちろん大事なものの、DXを推進するためにITアーキテクトを描くことができる or DXを実現できる推進力をもった人材が重要だと理解しています。
特に後者におけるスキルはプロジェクトマネージャーというよりは、高度な経営理解は欠かせないと思っています。
最後にDX成功に限らず、今の自分への戒めとして次の言葉は刺さりました。
最大の問題は、低すぎる目標をおいて、小さすぎる成功をしてしまうこと
何事も安易に目標を下げすぎないよう注意したいと思いました。
良い本です。