ティベリウスが本書の主人公です。
塩野七生さんは、まるで本人がその場に居合わせていたような印象、つまりは圧倒的なリアリティを感じさせてくれます。
そして、記載ときどきにある塩野七生さんの歴史考察はとても勉強になります。
気がつけば、私は歴史の本を多く読んできたように思います。
単純な知的好奇心といってしまえばいいのですが、歴史は人・組織・社会といったあらゆることを、あるときは網羅的に。また、ときには専門的に学ぶことができます。
この学びは現代にも活かせると思っていて、素晴らしい学問だと思っています。
晩年は歴史本で得た知識をもとに実際に現地へ言ってみることで、歴史をより肌感覚で体感したいと考えています。
本書ではカエサル→アウグストゥス→ティベリウスに受け継がれた話ではありますが、ティベリウスはきちんと治世をしていたいのではないか?というのが著者の見解だと理解しています。
本書に出てくる、「元首政」という言葉がいまいち理解できなかったので調べてみました。
「プリンキパトゥスprincipatusの訳で,ローマ帝政の前半期,前1世紀末アウグストゥスのときに始まり,3世紀末ディオクレティアヌスの専制政治(ドミナトゥス)成立にいたるまでの政治形態。プリンケプス(〈元首〉もしくは〈第一人者〉)と元老院との共同統治の形をとり,共和政の公職機構は存続させたが,実質的には帝政。前半期はローマ帝国の繁栄期で〈ローマの平和〉の続いた時代,後半は軍人皇帝時代。」
つまりは表面的には共和制。実質は帝政というのが元首政と理解しました。
ただ、いろいろ調べてみると政治形態はそのときの時代や国家の中身によって、定義は様々みたいなので歴史教科書にこの政治形態の単語が出てくると難しく感じるかもしれないですね。
一見、わかにくい政治形態もより会社に例えるなら、元首政は重役社員と協議して会社の重要意思決定を決めるといいながらも、実施は社長ただ1人が意思決定している。
そんな風に捉えると元首政も理解しやすいのではないかと思います。