優れたローマの政治体制が時代の変化とともに、内部崩壊していく様がありありと書かれています。
いかなる強大国といえども、長期にわたって安泰でありつづけることはできない。国外には敵をもたなくなっても、内に敵を持つようになる。
外からの敵は寄せ付けない頑健そのものの肉体でも。身体の内部の疾患に、肉体の成長についていけなかったがゆえの内臓疾患に、苦しまされることがあるのと似ている
これは決して国家だけではなく、ある一定数以上の組織にも当てはまると思っています。
神々より守られて祖国のためにあれほども偉大な貢献をなし、共和国ローマでは最高の地位にまで登りつめた人物が、人々から感謝と敬愛の念を捧げられた人物が、今、被告席でさらし者にされようとしている。演壇の下の席に引きすえられ、彼に対する弾丸と非難を聴くよう強制され、心ない少年たちの悪罵さえ浴びようとしている。このような見世物は、彼スキピオの名誉を汚す以上に、われわれローマ市民の名誉を汚すことになる
相手を必要以上に精神的に痛めつけることに何も意味もない、むしろ自分の名誉を汚すことになる、という言葉は好きです。
社会不安はしばしば、経済不安からはじまる。そして経済不安は、失業者の増加という形をとって姿をあらわす。
これは現代にも当てはまりますよね。
無知な大衆とは、政治上の目的でなされることでも、私利私欲に駆られてのことであると思いこむのが好きな人種である
これも同じくです。
目的と手段の分岐点が明確でなくなり、手段の目的化を起してしまう人
私もついこの傾向があるかもしれません。
大衆とはいつの世でも、権力者や富裕階級への批判は喜んで聴くものである
こういう風にならないよう気をつけないといけません。
塩野七生さんの本は政治体制や組織、軍体、法、地理、文化など多岐にわたった歴史が書かれています。
大好きな歴史を学びつつ、社会で生きていくのに必要な知恵なるものを学ぶことができるなんて、私にとっては最高の教材です。
学校で学ぶ歴史は無味乾燥とした味わいが多いですが、その裏側には多くの人々が織りなすドラマがあります。
そういったこともきちんと学ぶことで、私達は将来きっと役に立つ知恵を得ることができるように思います。
オススメです。