とても読み応えのある内容で面白かったです。
塩野七生さんのローマ人の物語を読みながら、本書を読むとローマ史の理解が深まります。
ローマの政治形態や統治方法に好奇心を持ったからか、今年はローマ史に関する書籍をよく読んでいます。
本書に記載があった、ローマが栄えた理由の1つにローマ人の「国家に対する強い自負心」があることを理由として挙げていたのは興味深かったです。
祖国とか国家といった「公」に対して献身的な意識を、貴族はもちろんのこと民衆レベルまで非常に強烈に持っていた。
さらにこういう強い意識だけではなく、軍規はとても厳しく個としての活躍よりも組織としての活躍に重きをおいていたそうです。
実際、デキマティオという制度があります。これは何かというと軍規を乱したものが所属する部隊の100人のうち、くじを引いた10人が処刑される、という制度です。
効果として、だらしなく戦ったら処罰するぞと言われるよりも、この方がとても怖いですよね。
とはいえ、ハンニバルとローマが戦ったカンナエの戦いはとても有名ですが、ローマは負けてしまいます。
けど、この敗戦から学ぶ強さをローマが持っていたことが後の戦いで活きてきます。
カンナエの戦いは↓の動画がとても分かりやすく解説されています。
ただ、このローマ人による愛国心も時代の変化と共に自己愛へと大きく変容していったことがローマ滅亡の要因の1つであると著者は述べています。
他にもキリスト教の勢力、経済停滞、異民族の侵略、暴君の誕生...などローマに様々な試練が続きますが、これだけ長く続いたローマ帝国から学ぶことはたくさんあるように思います。
読んだ本の中ではとても印象に残る本でした。
オススメです。