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Stats of My Life(おいしい人生を味わうために、コツコツとチャレンジしたことを書くブログ)

プロフェッショナルとは?と思ったら必ず読んで欲しい本です。:「プロフェッショナル原論」( 作者:波頭亮 2023年42冊目) #コンサルティング #プロフェッショナル #波頭亮

 

自分の仕事の取り組み方や今後の方向性を考えるにあたって、本書はとても参考になりました。

 

コンサルティング会社が「売上をあげる」が大々的に正しいとされていることに対して、プロフェッショナリズムと背反するような事例があるように感じたからです。

 

例えば、お客様がある課題解決のためにコンサルタントを雇ったとします。多くは人月分料金を請求しますが、工数が予定より膨らんだり、期間が延長するとより多くの金額を請求します。

 

相手側の追加の依頼であれば問題ないのですが、いかに売上を上げるかがKPIとなっていると、あの手この手で人員増や契約期間延長を訴えるコンサルタントも一部いるのではないでしょうか?

 

それは本来の高度な専門知識&技術を通して、課題解決を担うコンサルタントとは乖離があるように感じました。

 

本書ではそれに対する答えとして、プロフェッショナルはパーディアム(いわゆる日当)があるべきコンサルタントの姿と主張しています。

 

パーディアムこそがプロフェッショナルの格付けを表す指標。プロフェッショナルの技量の証であり、プライドの根拠(大前提として、プロフェッショナルの世界の技量の格差は非常に大きい)

フィーを値引きまでして取ろうとするのは、自分の誇りを値引きするようなもの。

 

依頼された案件を遂行するためには、どのような手立てが最も有効で、そのためにどれぐらいの日数を必要とするかを的確に見通すことは、プロフェッショナルが身につけなければならない大切な能力の1つ。クライアントの負担を軽くすることも大切な条件。

 

一方、成果報酬型もありますが、著者は成功報酬型のフィー契約は商業主義的であると主張しています。深刻さにつけこんでいる。だめだったごめんなさいは安易な姿勢と捉えられないからです。

 

クライアントからの依頼を引き受けた時点で実質的にその問題は解決したも同然と思ってもらうほどの確実性と責任感が重要

 

この言葉が刺さりました。

 

改めてプロフェッショナルとはなんだろう?と考えると著者は形式的要件と意味的要件があると述べています。

 

形式的要件

 ・高度な職能の保有

 ・特定のクライアントの課題解決

 ・インデペンデントな立場

意味的要件

 ・公益への奉仕

 ・厳しい掟の遵守

 

これら要件を満たした場合には、仕事を選べる自由や社会からの敬意を得ることができます。

 

基本的な価値

 ・自らの意志で仕事を選べる自由

 ・組織に属しなくても仕事ができる安心感

高次な価値

 ・自尊の念

 ・社会からの敬意

 

前々からプロスポーツ選手やアーティストと仕事でのプロフェッショナルの違いを明確にできなかったですが、腹落ちしました。

 

プロスポーツ選手

 ・仕事の形態が特定の依頼人から特定の問題解決を請け負う形式ではない

  ⇒価値の享受者は不特定多数

 ・アーティストは自らの創作意欲や表現欲求に基づいて自発的に作品を創造するのが基本スタイル

 ・仕事内容の公益性の度合いの違い

 ⇒医者や弁護士の仕事は、患者の生命や依頼人の社会的立場を根本的に左右するほどの重みを持つ

 ・アーティストやプロスポーツ選手の仕事は観客に興奮と感動を与え、人々の生活を豊かにする

 

本書から自分なりのプロフェッショナル理論を構築するのに、とても参考となる本でした。ぜひ、コンサルタントに興味ある方には一読をオススメしたいです。

 

<備忘>

プロフェッショナルの掟

 ・顧客利益第一

 ・成果志向

 ・品質追求

 ・価値主義

 ・全権意識

 

プロフェッショナルとは自己実現欲求と社会化欲求という最も高次な欲求を満たすことができる職業だが、今の経済では公平性にこだわり抜いていると今の日本社会では金儲け合理性に合わない

 

従業員が拡大すると、当然のこととしてその人数を食わせるための仕事が必要

 

本来プロフェッショナルは営業したり宣伝したりすべきではないというルールを紹介したが、膨れ上がった人数を食わせるために、クライアントを営業開拓する活動のウェイトがどんどん大きくなっている

 

売上が拡大するということはコンサルタントがより多くのクライアントを助け、社会への貢献が拡大している証であるというロジックによって、ファームの成長戦略が正当化されていった

 

成長自体が既定の目標としてコンサルタントに課され、コンサルタントはクライアントの課題解決に使うべき時間を削って新しいクライアントを開拓したり、1つのプロジェクトをなるべく長引かせてフィーをかさ上げしたりすることがふえる

 

コンサルティングの能力やアウトプットのクオリティによってではなく、営業開拓して得た売上金額の多寡で評価され、序列が決定されるようになった。歩合制のセールスマンような感じ

 

これでは利益と成長を追求する一般の株式会社と何ら変わらない

 

顧客第一と言われながら、クライアントから少しでも多くのフィーを稼いだものが評価され、提言の質を少しでも高めるためによりレベルの高い分析に執着しろと言われながら、営業開拓に多くの時間を使うことを指示されるという強烈な矛盾と葛藤の職場