オクタヴィアヌスVSアントニウスの権力闘争が本書のメインとなっています。
2人の運命が決まったアクティウムの海戦とは、オクタヴィアヌスがアントニウスとクレオパトラの連合軍を破った古代ローマの海戦のことをいいます。
下記動画が海戦の解説があり、わかりやすいです。
ちょっと残念だったのが、クレオパトラがオクタヴィアヌスとの戦いに対してアントニウス率いる軍にあれこれ指示をしたこと。
そしてなによりも、自軍兵士たちが善戦しているなか、逃亡してしまったことがとても残念に感じました。
著者もこのクレオパトラの判断に対しては疑問を投げかけています。
アントニウスの兵士からすれば、戦争指揮経験がないのにあれこれクレオパトラから軍行動について言われるのはたまったものではないでしょう。
実際、負け戦と判断してアクティウムの海戦前にオクタヴィアヌス側に寝返った兵士もたくさんいたようです。
アントニウスがうまくクレオパトラをコントロールできかなかった、ということの証明かもしれません。
最後はクレオパトラは自死しますが、本書を読むと彼女の評価は難しいです。
幼少からエジプト王国の権力を巡って家族と闘争を経験してきたが故に、生き残る術を身に着けカエサルやアントニウスを虜にしてしまったものの、オクタヴィアヌスはそれには一切乗らなかったそうです。
オクタヴィアヌスとの戦いに対していろんなパターンを想定しておけば、クレオパトラはもう少しうまく立ち回れたのではないかと思うのです。
歴史にIfはないですが、想像を巡らせる楽しみがあってもいいと思います。
面白かったです。