塩野七生さんの書く物語は、塩野さんがマキアヴェッリの時代にいたかのような臨場感を感じさせてくれるので読んでいて楽しいです。
また、塩野さんの考察も非常に勉強になります。
例えば次の文章。
「人間は、運に恵まれない人に対して同情はするが、幸運に恵まれつづける者のほうを好むものである。それはなにも、寄らば大樹の陰、などという安易な気持からではない。個人個人は諸々の「神のくだされる試練」と闘う毎日を送っている彼らにしてみれば、それをしないですんでいるらしい「神の愛したもう者」を見るほうが、救われる気分になるからである。ナポレオンは、同程度の才能をもつ将軍が二人いれば、運の強いほうを登用したそうだが、人間がなにかをしようとする場合、いかに優れていても才能だけでは充分でなく、運というものが大きくものを言うことを理解している者は、マインノリティにすぎない。しかし、マジョリティも、人間心理のごく自然な発露としても、運の強い者を好む傾向は共有しているのである。ロレンツォ(・デ・メディチ)は、理想的なリーダーとして、彼らの胸に固定したのであった。」(147頁)
運の強い方を採るというのは、経営の神様と言われた松下幸之助氏の本を読んでも同じことが書いてあった記憶があります。
運の強いというのは、自分で強くすることが可能なのか?それとも定められているものなのか?
こういったことに思索にふけることが自分は好きです。
話はもどって、本書はマキアヴェッリが生まれたあたりのフィレンツェの話です。
そして、話のメインはロレンツォ・デ・メディチです。
ロレンツォのことは、なんとなくしか知りませんでしたが、統治者としてはかなり優秀だったみたいです。
ロレンツォ・デ・メディチ(Lorenzo de' Medici, 1449年1月1日 - 1492年4月8日)は、イタリア、フィレンツェのルネサンス期におけるメディチ家最盛時の当主。公的な肩書きはなかったが、当時のフィレンツェ共和国を実質的に統治した。ロレンツォ・イル・マニーフィコ(Lorenzo il Magnifico)とも呼ばれる。 孫であるロレンツォ2世・デ・メディチと区別するために大ロレンツォと表記されることもある。 優れた政治・外交能力を持っており、イタリア各国の利害を調整する立場として大きな影響力を振るい、信頼を得ていた。また、一般市民には気前良く振舞い、絶大な支持を得た。学問や芸術(ことに文学)のパトロンとしても知られ、彼のもとでルネサンス文化は最盛期を迎えた。
ただ、晩年は財政に苦しんで関係者からお金を借りていたそうなので、何をもって評価するかは人それぞれですね。
最近は本を読んでわからなかったことは、動画で補うことが多くなりました。
↓はとても参考になったのでロレンツォに興味ある方はオススメです。