人・組織・社会のことをしっかり理解しておくことは重要です。
私は社会人になってから、そもそもいい組織・悪い組織とは?自分なりにずっと考えていました。
その問いに対する自分なりの回答を見つけることができなかったのですが、本書で組織の性質なるものがわかってきて解を導き出せそうです。
まず、自分なりの本書の理解としては次の通りです。
前提として、組織には2つの目的があります。
①:組織目的
②:構成員それぞれの目的
この①と②が混在しています。
①は、例えばA部署で売上前年◯%増など。
②はより1人の人間にフォーカスした目的となります。例えば、給与上げや社内権限、影響力など。
②は公平感や安定感といった人の本質に基づいています。
①の組織目的だけフォーカスした組織になると、それを達成できる機能(技能)をもった人材のみがプロットされます。
これは現代では当たり前ですが、昔は年功序列とかトンチンカンな配置が行われたのは②の方を重きに置いたからです(本書ではこのことを共同体と読んでいます。)
重要なのはここからで、機能だけに着目すると組織は疲弊しやすい。例でいえば営業成績トップ10%以外は解雇とするような組織。
一見すると合理的なのですが、10%以内で残った人も翌期も残っていられるかわからないという不安があって、一般的には安定感を求める欲求とは反して長続きしない組織になります。
また、組織が腐敗していくのは共同体のウェイトのほうが高くなると、事なかれ主義、倫理観の崩壊につながることがあります。
日本の帝国陸海軍だと指揮官のミスも帳消しになったり、組織の配置も能力とは関係ない観点で選ばれたり、など。
組織目的達成のため機能は厳格にしつつも、構成員が安心して動ける心地よさ。この2つが両立することが健全な組織体として欠かせないことだと理解しました。
本書にはこれ以外にも、組織が衰退してしまういくつかの症状として、成功体験への埋没。環境への過剰反応の説明が書かれていて勉強になりました。
組織に興味がある方には、ぜひオススメしたい本です。
<目次>
1.巨大組織の生成から崩壊まで
豊臣家
帝国陸海軍
2.組織とはなにか?
共同体と機能体
3.組織管理の機能と適材
人間学と組織論
トップの役割
現場指揮者と参謀
得難い補佐役
4. 組織の「死に至る病」
機能体の共同体化
環境への過剰反応
成功体験への埋没
組織体質の改善
組織気質の改善
5.社会が変わる、組織が変わる
知価革命と組織変化
情報技術の変化