このGWで本書をしっかり読むことができて幸せでした。
人類史を生物学・社会学・経済学・科学学等々、様々な切り口で人類を考察していて、斬新な歴史観は知的好奇心をとてもくすぐられました。
私が特に面白かったのは資本主義のところで、資本主義は未来への成長に対する"信用"が要だと理解しました。この信用があるから資金調達も可能になります。
しかしながら、会社が成長して得た利潤をさらなる成長を強いるために、資本主義は投資を促します。それは、労働者に対しても成長を強いることになると私は理解しました。
産業革命時代にも劣悪な労働環境で苦しんでいる人が多くいたという事実を別の本で知って、なぜ200年近く経った今でもそういった問題が起きるのか、なんとなくわかってきたような気がします。
最小の資本で最大の利益を。そこで得た利益はさらない成長のために投資をする。
この循環が機能している社会の中で私達は日々生活をしています。
だからといって、資本主義が全然だめというわけではないと思います。
物質的な豊かさを追い求めていくシステムでもあるため、マジョリティにそれが分配されている国は生活水準が上がっています。
ただし、本書は読んで資本主義も決して万能というわけではなく、情報革命による情報中心的な社会においては、データを持っているほど有利なポジションを築くことができるため、寡占になりやすいですよね。
資本主義に大きな変化が起きようとしているかもしれません。
最後に資本主義、自由主義という、虚構に住んでいる私達は狩猟採集時代よりも農耕時代よりも幸せなのか?と著者は疑問を私達に投げかけています。
「自分が何を望んでいるかもわからない、不満で無責任な神々ほど危険なものがあるだろうか」
"人類の幸福"は、まさに人類が何を望んでいるかを明らかにしていくことが、未来は切に求められれているかもしれません。
すでにベストセラーになっている本ではありますが、おすすめです。