会計の本を何冊も読んで来ましたが、本書はタイトル通り財務分析の力を身につけることができる本です。
分析を何のために使うのか、また各比率が高い・低いは何を意味しているかの説明がとてもわかりやすいです。
業種によっても指標の一部は解釈が全然異なるので、分析はまさに経験が大事だと感じました。
本書ではPL・BS・CFも記載があるので、会計をもう一弾深い理解をしてみたい人にはオススメしたいです。
めちゃ良本でした。しばらく経つとまた読みたくなるかもしれません。
<ポイント>
BS・・・BSにはヒト、モノ、カネ、情報といった代表的な4つの経営資源のうち、モノとカネの状況しか表現されていないので注意する
効率よくモノやカネを使ってリターンを上げていくためには、それが表現されているBSは必要以上には大きくしないのが理想
1,運転資本の圧縮
2,遊休資産の有効活用とスリム化
3,投資効率,効果の上昇
4,安全と株主価値上昇のバランス
棚卸資産は販売不振のために在庫を抱えているパターンと、製造中(売上見込が高い)ことで仕掛品が多いパターンがある
棚卸資産圧縮のためには部品の共通化やサプライチェーンマネジメント改善が必要
PL・・・PLだけでは、そこに記載されている売上高や利益を、実際にどれだけの資金をつぎ込むことによって獲得したのかといった、ビジネスの効率はわからない。
利益は、会計ルールのうちどれを採用するかといった判断によって変化する可能性がある。つまり、利益は企業が自らの業績についてのオピニオンともいえる
CF・・・現金、預金に加えてリスクフリー(金利などのリターンがほぼ確実に得られる)金融商品も含まれる
・リースは営業活動によるキャッシュフローの中で差し引かれる
・成長期にある企業は、通常は、売上高が増加すると、それにともなって売掛金や棚卸資産が増加するため、利益に比較して営業活動によるキャッシュフローが低めになる傾向が強い
・営業活動によるキャッシュフローは投資を考慮していないのでプラスでも注意が必要
・有価証券や長期の定期預金などを増加させると、営業活動によるキャッシュフローは増加する。したがって、営業活動と投資活動のキャッシュフローの内容とそのバランスをよくみていく必要がある
■財務分析
・成長性
売上高成長率
総資産成長率
・総合的な収益性⇒ROE
・収益性
└売上高総利益率 ⇒下がっている場合には製品の競争力が落ちてきている
└売上高営業利益率 ⇒売上高総利益率と連動しているが連動せず低下している場合には、販売促進をしているにもかかわらず売上高が伸びない、あるいは管理コストがかかっているといった、販売管理活動に課題がある
└売上高経常利益率 ⇒売上高営業利益率と比較すると良い。売上高営業利益率よりも高い場合は営業外損益でプラスを意味するため、財務面で健全ともいえる。逆に大幅に低い場合には、借入金や社債による調達が大きく、財務体質があまりよくない可能性が高い
└売上高当期純利益率 ⇒比率が高い場合には、株主への配当や企業の内部留保の基礎となる当期純利益として残すことができることを意味する
・効率性
└総資産回転率 ⇒ 売上高/総資産 この比率が高い場合は効率よく事業が行われていることを意味する
└売上債権回転期間 ⇒ 売上債権/売上高/365 売上債権を何日後に回収できるのかを表す比率。長くなっている場合には、不良債権が発生している可能性がある。
└棚卸資産回転期間 ⇒ 棚卸資産/売上原価/365 在庫が売上原価の何日分あるのか、つまり何日分の在庫を所有しているかがわかる比率。この期間は、短いほうが売れ行きが好調
└仕入債務回転期間 ⇒ 仕入債務/売上原価/365 仕入債務としては、買掛金と支払手形を含めることが一般的。期間が長くなっている場合には、ゆっくり支払っていることになるので、キャッシュフローの面からは有利である。
└有形固定資産回転率
⇒事業についての総合的な収益性 ROA
・安全性
純資産比率 純資産/総資産 日米ともに30-40%程度となっている場合が多く、この比率が高いほど、資金調達の面からの安全性が高いことを意味している。
流動比率 流動資産/流動負債 短期的な支払い能力がどの程度あるかを示す比率
固定比率
固定長期適合率 固定資産/(純資産+固定負債) この比率が小さいほど、固定資産に対する資金調達がすぐ返済する必要のない資金を中心に行われているため、財務的に安定している