組織論について、あれこれ考える機会があったので読んでみましたが、考察が深くてとても勉強になりました。
どういう組織であるかは戦略に従うのが通例だと認識していますが。超ざっくりに大別すると2つの組織に分かれると思う。
・1を100にする組織(課題解決型)
・0を1にする組織(問題提起&解決型/既存システム破壊型)
この本では後者のイノベーティブな組織にするためにはどんなことを考えるべきなのかが書かれています。
ここに書かれていて有益だと思った知識について、分類はきちんとできていないですが、書いてみます。
・権力格差指数
国によって指数が異なるそうです。この値が大きいほど上位者に物申しにくいことを表します。個人がいくらクリエイティブでも組織が個人をダメにするパターンもあると理解するといいと思います。日本は権力格差指標が大きいそうです。
・ネットワーク密度の高さ
上下だけではなく程よく横とつながりあるとイノベーションが起きやすいそうです。言わずもがなですが、いかに自分以外の組織とつながりを持てるかはイノベーションには重要な要素です。
・多人数で目利きするシステム
なるほど、と思ったのがアイデアを考えるのが得意な人と、それをビジネスにすることが得意な人とが分かれることもあるそうです。
そうすると、多くの人に自分のアイデアをプレゼンテーションする、してもらう組織の方がイノベーションの確率はUPすると思います。
・規律と遊びのバランス
規律がきつすぎてもNGだし、遊びがありすぎてもNGだそうです。この塩梅はマネジメントの力量のかかっているように思います。
・イノベーションの大前提
「用途市場は明確化できない」「非線形で柔軟なプロセスが必要」「消費者はイノベーションを見抜けない」
こう考えると大きい会社で予算を獲得することは難しいかもです。当たらないかもだけどやってみたいって感じなので。
・人
・優れたリーダーは決め方を決める
・人材の創造性を阻害している組織要因は何なのか?
・どのようにすれば個人の創造性を組織の創造性につなげられるのか?
・多様性は属性ではなく、意見の多様性
・多様な意見を促す、多様な意見を認める
・上下間の風通しの良さ
・異なる分野のクロスオーバーするところにこそイノベーティブな志向が生まれる
・イノベーティブなアイデアの多くは、領域横断的なところで生み出されることが多い≒専門家じゃないとアイデアを生み出せないはNG。むしろ素人であればこそ
流動性が低い日本:平均勤続年数は13年
書いてみると確かになのですが、それをどう組織設計するかは経営者の腕の見せどころです。
・日本の特性
「自分は何をできるか、という論調ではなく、なんとかしてくれと騒いでいるだけ」
「権力弱者が支配者に依存している傾向」「権力格差が大きい日本では、権力弱者が支配者に依存する傾向が強く、中央集権化が進むと指摘」
耳が痛い話ですが、自分の年代は自ら行動して問題解決していきたいです。
・人の特性2
・予告された報酬は人間の創造的な問題解決能力を著しく毀損する
→最も少ない努力で最も多くの報酬を得られるためになんでもやるようになる。加えて、選択の余地が与えられれば、そのタスクを遂行することで自分の知識や知識を高められる課題ではなく、最も報酬が多くもらえる課題を選ぶようになる
この本の中で一番刺さりました。報酬だけで選ぶ会社はイノベーション起きにくいと理解。
・指令を受けたエリートVS好奇心に突き動かされた起業家
・好奇心に突き動かされた起業家はスポンサーや支持者の意向などお構いなし
仕事には課題優先型と好奇心駆動型があると理解しました。
・不確実性が高く、目利きの難しい営みを実現するにあたっては、拾う神を辿るためのネットワーク密度が非常に重要
どれだけ、多くの人にプレゼンテーションできるかもとても重要なイノベーションの要素だと理解しました。
・事業化かかるまでに平均9年。成功は4割以下。
・イノベーションがもたらす果実の大きさは時間の経過とともに明確化されていきます。
イノベーションを起こそうとする起業家が戦略的な計画を練るときにはインプットしておきたい内容です。
・合理的な解は、そもそも合理的な解になり得ない
パラドックスな感じですが、イノベーションにおいてはこの考え方はとても重要です。コンサル業務にどっぷり浸かっていると、考え方をチェンジできないかもです。
・イノベーティブな判断が起きにくいテーマと組織
①集団凝集性の高さ
コンセンサスに達するために意見を戦わせることは意思決定のクオリティを向上させるという点で非常に重要ですが、集団浅慮が発生するような状況では同調圧力により意義を唱えることが難しくなる
②外部からの孤立
③リーダーシップの弊害
④問題解決のストレス
ストレスから逃れるために熟慮することなく意思決定しようとする
なるほどです。クリエイティブなリーダーシップを取ろうと思っても、周囲の環境によって強い影響を受けます。
・人の動機は3つ
達成動機→設定した水準や目標を達成したい、という動機
親和動機→他者と親密で有効な関係を築き、これを維持したいという動機
パワー動機→自分の好意や存在によって組織や社会に影響を与えたいという動機
企業における人材配置は、職務の重要性と人材の能力をリニアな関係で捉えて、より重要性の高い任務に、より高い能力を有する人材をあてはめる、という単純な考え方が主流となっています。
任務と能力の関係はそのような単純なものではなく、能力の背後にある「動機」が大きくパフォーマンスに影響する
スキルだけでマッチするのは最近、違和感を持っていたので人材配置の観点でとても参考になりました。
・課題優先型の仕事ばかりやってきた人はイノベーションを実現できる人間を、知らずしらずのうちに淘汰している
ロジカルシンキングとは違う思考形態なので、イレギュラーに感じやすいかもです。自分も人のアイデアを聞くときには注意したいと思いました。
・新商品売上高比率というKPI
これは大変すばらいKPIだと思いました。例えば新商品が売上高に占める比率を20%としたならば、その達成に向けて新商品を開発するドライブが働きます。
P/Lもこういった観点でKPI作るだけで、人の行動に大きな影響を及ぼすと理解しました。
・ビジョンには共感がないとだめ。抽象度が高すぎても、具体的すぎてもNG
単なる売上を伸ばすだけではNGだし、何か人の心を突き動かすようなものってなかなか思いつくのって難しいです。
最後にChatGPT4に組織論について聞いてみました。組織論を勉強するときは下記に従って整理するといいかもしれません。
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組織の定義: 組織とは何か、その特徴や目的について理解します。これには、組織が個人の集合体であり、共通の目的を達成するために協力する構造であるという基本的な理解が含まれます。
組織理論の歴史: 組織理論の歴史を学ぶことで、異なる時代の組織の概念や管理の方法がどのように進化してきたかを把握します。古典的管理理論(テイラーの科学的管理法、ファヨールの管理過程論)、人間関係論、システム理論など、さまざまな理論が組織論の基礎を形成しています。
組織構造: 組織の構造はどのように機能するのか、またその構造が組織の効率性、柔軟性、そして従業員の満足度にどう影響するのかを検討します。階層型、フラット型、マトリックス型など、様々な組織構造について学びます。
組織文化: 組織内の価値観、信念、行動様式、そしてそれらが組織の成果にどう影響するかを理解します。
組織行動: 個人やグループが組織内でどのように振る舞うか、その動機付けやリーダーシップ、コミュニケーション、チームワークに関する理論を探求します。
組織変更と発展: 組織がどのように変化し、適応し、成長するか、またそのプロセスを管理する方法について学びます。
組織環境と戦略: 組織がどのように外部環境と相互作用し、戦略を形成していくかについて理解します。
組織設計: 効率的かつ効果的な組織を設計するための原則やアプローチについて学びます。
現代の組織理論: 現代の組織論は、多様性、倫理、グローバリゼーション、テクノロジーの影響など、新しい課題を組み込んでいます。
これらの要素からアプローチすることで、組織論の広範な視野を得ることができます。実際の組織事例やケーススタディを通して学ぶことで、理論と実践の結びつきをより深く理解することができるでしょう。